FLASHはどこで読めばいいのか問題。

 

値段をいくらにするか、どこで売るのか、どんなキャッチをつけるのか。

 

商品を売る上で重要なことはいくつもあるわけだが、

意外と見落とされがちなのが「その商品が使われる様子を想定すること」。

 

いくら高性能でも、大きすぎる冷蔵庫は日本の狭いキッチンには置けないし、

どんなにおしゃれな自転車だって、坂の多い街ではなかなか売れない。

 

そんな中で今回私が話題に上げたいのは、週刊誌の「FLASH」である。

 

言わずと知れた「FRIDAY」と並ぶ写真週刊誌の二大巨塔

(というよりは、“生き残り”というべきか)。

最近では、フジテレビの秋元優里アナウンサーと生田竜聖アナウンサーが

別居していることをスクープするなど、とかく週刊文春に話題を持って行かれがちな

ゴシップの世界の中で、今もしっかりと存在感を放っている、と思う。

 

だが、FLASHは読者にとって大きな難点を抱えている。

 

試しにgoogleやYahooで「FLASH 表紙」で検索してもらいたい。

過激な写真が並んだ表紙がたくさん表示されるはずだ。

その上に「SEX」「ヘアヌード」「巨乳」といった文字が踊る。

どちらかと言えばエロ本に近い。というよりエロ本そのものだ

(ちなみに私がFLASHの見出しで一番笑ったのは、

下町ロケット』のパロディ、『下乳ロケット』である)。

イラストレーターの大家、和田誠さんの絵が表紙を飾る

週刊文春と比べればその差は一目瞭然である。

 

私は、FLASHを見るたびに思う。

「一体これをどこで読めというのか」と。

 

記事の内容を見る限り、おそらくFLASHの想定読者は

40代~50代の男性。

サラリーマンで言えば、課長から部長あたりまで出社し、

家には小学生から中学生くらいの子どもが1~2人いるといったところだろうか。

 

東京で働いているのであれば、住んでいるのは都心から電車で一時間前後。

2LDKのマンションには、自分の部屋などない。書斎を持ってみたいと憧れるが、

まずは子どもたちを大学に行かせなければ・・・と思っている。

 

そんな一企業の中間管理職であり、良き父親である彼らの生活に

FLASHのような雑誌を読む空間はどこにあるのだろうか。

 

会社では? もちろんNG。今のご時世、FLASHのような雑誌をデスクで

読んでいたらセクハラで訴えられかねないし、部下たちだって尊敬してはくれないだろう。

 

自宅だって当然NG。FLASHの刺激的な表紙はリビングには似つかわしくない。

通勤中の電車でも、普通の人の感覚なら読むのはなかなか勇気がいる。

 

ならば、コンビニで買った後、会社のトイレにこもって一人で読み、

家に帰る前に駅のゴミ箱にでも捨てたら?

そんなことまでして読まなきゃいけないものを買うのは辛い。もはや隠れキリシタンである。

 

 

出版不況、とりわけ雑誌の凋落が叫ばれて久しい。

日本雑誌協会によれば、FLASHの発行部数は全盛期には遠く及ばない20万部程度。

FRIDAYとともに、休刊の噂もささやかれている。

 

もちろん時代の流れや中身の方が大きな原因であるのは間違いないと思うが

過激すぎる表紙もその一因なのではないか・・・と思うのである。

 

dマガジンなど、スマホタブレットで雑誌を読むことが主流になったら、

少しはこの問題も解消するのだろうか。

でも、メイン読者のおじさんたちってその辺の対応遅そうなんですよね…。